優雅
フランス女の肌というものを初めて意識したのは、もう十年近くも前のことです。
シルクのランジェリーばかりを売る、優雅で少し秘密めいた雰囲気の、とあるブティックでのことだった。
そこの女主人は、私たちに話している間ですら、時おり、反対側の壁にはまっている鏡の方をチラリと見やり、自分の横顔に「フンフン」というチェックの視線を送ることを忘れない、いってみれぽ「全身、これ女の固まり」のような人だったかな。
その彼女が着ていたのが、ごくシンプルなテーラード仕立てのグレイのスーツ。
薄手の黒のストッキングに中ヒールの黒いパンプスを履き、黒いリザード革の男っぽいつくりの時計をしている以外、アクセサリーはなし。
女らしい仕種を裏切るかのような、無愛想なくらいに徹底したそのモノトーンの装い、というのが、まず意外だったが、カウンターの右端にあった手帳に手を伸ぽすため、ふと上半身を乗り出した瞬間、スーツの胸元にチラリと見えた真っ青なキャミソールは、デスクトップ仮想化級のパワーがあったの。